アルド・フィロシーニ職人|革職人として貫く「誇り」と「絆」

いつだってこの工房が自分のすべてなんだ。ナタリーナと二人でやってきたこの工房にこそ、人生の全てが詰まっているんだ。

アルド・フィロシーニ

誇りを胸に、「絆」と共に歩む職人


職人の名前は、アルド・フィロシーニ。

いつも開けっ放しの入り口の扉は「誰でも気軽に入ってきやすいように」、そう言って、年季の入った少しくたびれた白衣がよく似合うマエストロは目を細めて笑います。

アルド・フィロシーニ職人と妻のナタリーナ職人が、2人でこの小さな職人工房を始めた時から、すでに50年以上の月日が経ちます。

大通りからすぐ、物語の始まる場所。

有名なトレヴィの泉のほど近くの、趣のある古い小さな路地。そこで出会うのは、「HANDMADE」と書かれた看板とガラス戸の入り口。

その入口には、素敵な革製品たちがとても上手にディスプレイされています。

工房へ一歩足を踏み入れると、イタリアが誇る伝統的な技法によって鞣されたばかりの美しい革が目に飛び込み、心地良い革の香りが訪れる人を優しく迎えてくれます。

 たった二人で生み出す、心打つ革製品

小さな工房にナタリーナ職人が上手にディスプレイする美しい革製品たちは、いつもすぐに新商品たちが加わっていきます。そんな工房で商品を生み出すのは、アルド職人とナタリーナ職人の二人だけです。

「たった二人」で作り出す優しい革製品たちは、手にした瞬間に心に響く感動があります。この意味は、一度でも「LEATHER CRAFTSMAN」の製品を手にしたことがある人ならば、きっとすぐに分かるはずです。

外からのオーダーは受け付けない、貫く職人の道

ブランドだって倒産する時代。確かなものなんて何もない。ふたりでやってきたこの工房こそ、今もこれからも自分達のすべてだ。

アルド職人が革職人の道へと入ったのは、彼が10歳の時のことでした。

イタリアが不況の煽りを受け始めるころ、多くの仲間たちは工房を閉め、生きるために有名ブランドの下請けの仕事へとシフトしていきました。

しかし、アルド職人はそんな逆境の中であっても、職人としての誇りを貫くことを諦めませんでした。どんな時も、彼の隣には妻であるナタリーナ職人の存在があったからです。彼女もまた革への情熱から18才で革職人の道へ入った、今では大ベテランの革職人。

アルド職人の信念を象徴するのが、「お金のためのオーダーは受け付けない」こと。

自分たちの築き上げたものを大切にし、その意志を頑固に貫く。それが、職人アルド・フィロシーニという人間の生き方なのです。

夫婦で築き上げたもの、これからもずっと残るもの

職人工房「LEATHER CRAFTSMAN」には、後を継ぐ後継者はいません。けれども、そんなことを彼らは決して悔んだりはしていません。いつまでも変わらずあり続ける確かなものが、そこにはいつもあるからです。

夫婦ふたりで紡いできた素晴らしい絆の物語が、いつも変わらずにそこにあるのです。

お茶目で物腰が柔らかく、良く笑うアルド職人。見た目の印象とは違い、お話が好きで日本語の単語を一生懸命覚えようとしたりもする。

優しいマエストロは今日もくたびれた白衣で、世界にたったひとつの「artigianato」をナタリーナ職人と一緒に作ります。

革工房「Leather Craftsman」の革製品

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