革職人として貫く「誇り」と「絆」

職人の誇りを胸に「絆」と歩む



職人の名前は、アルド・フィロシーニ。

いつも開けっ放しの入り口の扉は「誰でも気軽に入ってきやすいように」、そう言って、年季の入った少しくたびれた白衣がよく似合うマエストロは目を細めてよく笑います。

いつだって全てはこの場所にあるんだ。ナタリーナと二人でやってきたこの工房に、人生のすべてが詰まっているんだよ。

アルド・フィロシーニ
大通りからすぐ、物語の始まる場所。

有名なトレヴィの泉のほど近くの、趣のある古い小さな路地。

そこで出会うのは、「LEATHER CRAFTSMAN」と書かれた看板と開けっ放しの入り口。その入口には、素敵な革製品たちがとても上手にディスプレイされています。

ー1970年。
熟練革職人であるアルド・フィロシーニ氏と、妻のナタリーナさんが2人で始めた小さな職人工房です。

工房へ足を踏み入れると、イタリアが誇る伝統的な技法によって鞣されたばかりの素晴らしい革が並び、心地良い革の香りに包まれていきます。

 

たった二人で生み出す、心打つ革製品

小さな工房にナタリーナ職人が上手にディスプレイする美しい革製品たちは、いつもすぐに新商品たちが加わっていきます。そんな工房で商品を生み出すのは、アルド職人とナタリーナ職人の二人だけ。

「たった二人」で作り出す優しい革製品たちは、手にした瞬間に心に響く不思議な感動があります。一度でも「LEATHER CRAFTSMAN」の製品を手にしたことがある人ならば、その意味がきっと分かるはずです。

商品に込められた「作り手」である二人の想いを、手にした誰もが自然と感じるのです。

外からのオーダーは受け付けない、貫く職人の道

アルド職人が革職人の道へと入ったのは、彼が10歳の時でした。

そのキッカケは、父親の「生きていくために何よりも手に職を付けろ」の一言だったと言います。そこからずっと変わることなく、革職人の道を一途に貫いてきました。

イタリアが不況の煽りを受け始めるころ、多くの仲間たちは工房を閉め、生きるためにファッションブランドの下請けの仕事へとシフトしていきました。

仲間が口々に囁く、 ❝職人はもう時代遅れ❞ との言葉。
それでも、アルド職人の信念が変わることはありませんでした。   

どんな時も、彼の隣には妻であるナタリーナ職人の存在があったからです。

彼女もまた革への情熱から18才で革職人の道へ入った、今では大ベテランの革職人。

ブランドだって倒産する時代。確かなものなんて何もない。
ふたりでやってきたこの工房こそ、今もこれからも自分達のすべてだ。


そんなアルド職人の信念を象徴するのが、「お金のためのオーダーは受け付けない」こと。

収入のために革製品の修理を受ける工房が多い中、自分達の大切な時間は、自分たちの商品を作るために使いたいと言います。ひとつひとつに心を込めて、使う人を思い浮かべながら作る。どれも世界にたった一つ、それを使う人のために商品を作っていたい。

そんな想いがあるからこそ。

自分たちの築き上げたものを大切にし、その意志を頑固に貫く。それが、職人アルド・フィロシーニという人間の生き方なのです。

夫婦で築き上げたもの、これからもずっと残るもの

職人工房「LEATHER CRAFTSMAN」には、後を継ぐ後継者はいません。けれども、そんなことを彼らは決して悔んだりはしていません。いつまでも変わらずあり続ける確かなものが、そこにはいつもあるからです。

夫婦ふたりで紡いできた素晴らしい絆の物語が、いつも変わらずにそこにあるのです。

❝工房を訪れるお客さんの笑顔が見たい❞

彼らがこの場所で、今も変わらずに革製品を作り続ける理由。

そんな想いは、これからもずっと世界中の誰かの元で日々大切に受け継がれてゆくのです。高い縫製技術から生まれる、他では見つからないような手間をかけた素晴らしいハンドメイド商品の数々。工房「LEATHER CRAFTSMAN」から生まれる革製品は、一生モノとして長く心に残る大切な物語たちです。

お茶目で物腰が柔らかく、良く笑うアルド職人。
見た目の印象とは違い、お話が好きで日本語の単語を一生懸命覚えようとしたりもする。

優しいマエストロは今日もくたびれた白衣で、世界にたったひとつの「artigianato」をナタリーナ職人と一緒に作ります。

本当の価値とは何ですか?

それは値段ではありません。
本当の価値は周りの言葉などではなく、自分たちの心で与え、決めてゆくものなのです。

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