
動物の種類別レザーの特徴|財布やバッグにおすすめの革は?
2021-09-08 2021-11-24
革の種類別ガイド
私たちが身近でよく知る「革」(レザー)は、動物の皮を製品として使用できるよう「革鞣し」(なめし)という加工作業をして製品化されたもの。
大まかに分けて2つの行程で革を鞣し、その工程で鞣された革が最終段階の加工によって、様々な名前の革へと変わっていきます。
鞣された革は、以下の要素でそれぞれの革として種類が分かれていきます。
- 使用される動物の種類
- 「クロム」または「植物タンニン」のどちらの鞣し剤で鞣されるか
- 最終段階の加工方法
革製品は何よりも「エイジングを楽しみたい」という方は、それぞれのレザーの「植物タンニンで鞣されたもの」がおすすめです。
今回の記事では、革(レザー)として利用される代表的な動物の種類と、それぞれの特徴をご紹介していきます。
革の名称と特徴
牛革
成牛革
最もポピュラーな革として、実用的に利用される代表的な革。生後2年以上の牛の革が「成牛革」と呼ばれ、一般的に「牛革」と言えばこの革をことを指しています。
毛が全面に生えていて、汗腺も少ないため、きめ細かく滑らかな質感を持っているのが特徴。
コラーゲン繊維がびっしりと細かに絡みながら横に走っているため、とても丈夫。世界三大レザー「ブライドルレザー」でも使用される革。
カウ・ハイド
生後約2年のメスの成牛革で、一般的には出産経験のあるメス牛のこと。
丈夫で厚いステアハイドよりもやや薄目で質は滑らか、キメはステアハイドよりも少々粗め。ブライドルレザーは主にこの革を使い、植物タンニンで鞣される。
ステア・ハイド
生後3~6ヵ月以内に去勢したオスの成牛革。
生産量や利用度の高さから、一般的に牛革といえば、このステア・ハイドのこと。キメが細かく、ブル・ハイドよりも薄くて柔らか。
丈夫で厚みがあるのが特徴。穏やかな性格のため、革にもキズが少ない。
ブル・ハイド
生後3年以上の繁殖用のオスの成牛革。
非常に厚みがあり、キメが粗くて硬いの特徴。気性が荒いので他牛とのケンカで付いたキズなども多い。厚みと丈夫さを生かして、主に靴底や業務用ベルトなどに利用される。
中~仔牛革
牛革の中でも希少で高価な革。
抜群の柔らかさと軽さを持ち、表面のキメが非常に細かくて滑らかなのが特徴。
キップ・スキン
生後6ヵ月~2年以内の中牛革。
成牛革に比べてとにかく小さく軽く、細やかで美しいキメと滑らかさが特徴。
カーフ・スキンよりはやや厚みがあり丈夫。
カーフ・スキンに次ぎ、希少価値のある上質な高級品として人気が高い。キズも少ない。
カーフ・スキン
生後6ヵ月以内の仔牛革。
薄くて軽く、キップスキンよりも更に細かいキメと滑らかさが特徴。
しなやかな質感を持ち、キズも少なく、牛革の中では希少価値がもっとも高い高級品。
羊革
羊の種類は1000ほどあると言われており、革については年齢によって「シープ・スキン」と「ラム・スキン」の2種類に分類。
コラーゲン繊維が細かく緩いために柔らかくて軽く、肌触りはとても滑らか、高い保温効果を持つのが特徴。
シープ・スキン(成羊)
シープは、生後1年以上の成羊。
コラーゲン繊維が細かく緩いために柔らかくて軽く、肌触りはとても滑らかなのが特徴。一般的にシープスキンと呼ばれるのは、温暖な熱帯地方で育った羊「ヘアー・シープ」のことを指す。
ラム・スキン(子羊)
ラムは、生後1年未満の羊。
シープスキン同様に高い断熱効果を持ち、ラムスキンはシープスキンよりも更にキメが細かいため、非常に柔らかで滑らかな質感を持つのが特徴で。希少価値の高い高級素材。
山羊革
山羊は種類がとても多く、年齢によって「ゴート」「キット」の2種類に分類される。独自のシボ模様が印象的な革。
ゴート・スキン(成山羊)
ゴートは、生後半年以上の山羊。
革の構造は、キップスキン(仔牛革)と似ているが、タンパク質繊維のエラスチンが多いため弾力性があり、軽くしなやかなで柔らかい肌触りが特徴。
表面に独特のシボ模様(革の表面にあるシワのような模様のこと)があるため、耐摩耗性に優れている。
キッド・スキン(子山羊)
キッドは、生後6カ月未満の子山羊。
ゴートスキンよりも更に薄く柔らかでしなやか、キメが細かくしっとりとした光沢を持つのが特徴。
ゴートスキン同様に表面に天然のシボ模様があり、耐摩耗性に優れている。生産量の極めて少ない高級品。
鹿革
ディア・スキン
非常に細かい繊維が緻密に絡み合い、縦横無尽に走っている独自の皮膚構造を持っているため、他の革には見られない、しなやかで柔らかいしっとりとした手触りを持つ。
軽いながら伸縮性があり、丈夫で強く、通気性と保温性に優れているのが特徴。その耐久性から、日本ではかつて武具にも使用されていた。
馬革
ホース・ハイド、コ―ドバン、ポニーレザー
馬革は、世界三大レザーのひとつである「コードバン」でも良く知られる。名称の違いは、加工方法や使用する部位や大きさによって異なる。
美しいツヤと柔らかな質感、丈夫でありながら軽さとしなやかさを持ち合わせているのが特徴。
丈夫さと美しさを兼ね備えた世界最高の革と称されるコードバンは、「ベンズ」と呼ばれる馬の臀部をタンニンで鞣して染色したもの。
緻密で強靭な繊維構造を持ち、キメ細かくてしなやか、その光沢の美しさがコードバンの大きな特徴。
豚革
ピッグ・スキン
毛穴から剛毛がまとまって3本ずつ生えているため、通気性に優れ、革の表面に毛穴由来のデコボコ模様があります。
薄くて軽いながらも摩擦に強く、耐久性があるのが特徴。硬さもあるので、丈夫さが求められる鞄の内側などにも利用される。
ダチョウ革
オーストリッチ
羽根を抜いた跡による、表面の水玉のように突起した「クイルマーク」と呼ばれる独自のシボが印象的な革。天然皮革の中では、非常に希少価値のある高級品。
牛革よりも耐久性があり、質感はしなやかで軽くて丈夫、使う程にクイルマークがツヤが増して水玉模様が際立つようになるのが特徴。
クイルマークは背中の部分だけに入ているため、全体の40%の割合の部分にしか入らないという希少価値があり、このクイルマークを生かした製品は特に高級品。
ワニ革
クロコダイル、アリゲーター、カイマン
名称の違いは、ワニの種類のこと。
その中でも「クロコダイル」という品種のワニ革の人気が高く、多くの高級ブランドなどでも好んで使用される。
表面に「符」(ふ)と呼ばれる鱗模様があり、体の部位の模様によって「竹符」(四角い鱗)や「玉符」(丸い鱗)といった異なる名称の模様を持つ。
ワニ革は薄いながらも非常に丈夫で、部位ごとの質感が異なっているのが特徴。「玉符」部分(脇腹あたり)は非常に柔らかく、「竹符」(顎、腹部、尻尾あたり)には硬さがある。
ヘビ革
パイソン
ヘビは非常に種類が多く、「パイソン」はヘビ革は総称として呼ばれる名称。表面にある、独特の美しい斑模様や鱗模様が印象的な革。
質感は薄いながらも非常に丈夫で、しなやかな質感と伸縮性を持っているのが特徴。ヘビの種類や部位によって、表面の模様の出方が大きく異なる。
猪革
チンギアーレ
イタリア語で「猪」のこと。実際の猪革は、きわめて生産量の少ない高級品。一般的に出回っている「チンギアーレ」は、ヨーロッパの野豚の革のことを指しています。
ピッグスキン(豚革)よりも毛穴が目立たず丈夫、緻密な繊維組織と野性的なシボ模様が特徴。
摩擦にも強く、高級品に分類される革。